多焦点眼内レンズ

白内障手術の際に使用される眼内レンズには大きく2種類があります。

(1)単焦点眼内レンズ:ピントの合う範囲が遠方か近方のいずれかに限られているため、遠方か近方を見るときのどちらかは眼鏡が必要となります。こちらは保険適応となります。

(2)多焦点眼内レンズ:遠方と近方、レンズの種類によっては中間にもピントが合うため、眼鏡の依存度を減らすことができます。当院では選定療養のみ対応しております。詳細につきましては、医師・スタッフにお問い合わせください。

多焦点眼内レンズは患者様のQOVを高めるレンズ。

多焦点眼内レンズは100%の患者様が眼鏡が不要になるというレンズではありません。ご自身のライフスタイルに合わせた見える焦点(ポイント)を増やすことで、眼鏡の依存度を減らし、術後のQOV*を高めるレンズです。

当院では医師や視能訓練士が患者様のご要望をじっくりお聞きし、患者様に最適な眼内レンズ選びのお手伝いをさせていただきます。

*QOV(Quality of Vision):視覚の質。QOL(Quality of Life:生活の質)を実現させるための重要な要素。


選定療養とは


追加費用を負担することで保険適応の治療と保険適応外の治療を併せて受けることができる制度です。
そのため、白内障手術は通常の保険適応となり、多焦点眼内レンズ(国内承認)を選択することで増える費用のみを自費にて追加負担いただければ手術が受けられます。

注)今までの「先進医療」という制度では、多焦点眼内レンズの費用以外の部分である白内障手術自体も保険適応外となり、全額自費(もしくは先進医療特約保険に入られている方は、保険会社からの給付)となっていました。

選定療養費用(片眼)


多焦点眼内レンズラインナップ


※この表はメーカーが公表している内容をもとに、当院でOPEを行った患者様の感想や、手術データを加味して作成した内容になります。
他院とは多少異なる点もございますので、あらかじめご了承の程よろしくお願いいたします。
※◎や○が付いている場合でも、個人により眼鏡が必要なケースもございます。

当院で扱っている代表的な多焦点眼内レンズ

Pan Optix(選定療養)

Pan Optix(選定療養)


2019年7月からAlcon社より導入された国内初承認の3焦点眼内レンズです。2焦点をはじめ、焦点深度拡張型の多焦点眼内レンズは国内で承認を受けていましたが、3焦点眼内レンズはこのレンズが初めてになります。遠方視力の見え方の質を最大限落とさず、中間距離(60cm)~近方距離(40cm)にも焦点が合う快適な見え方の提供が実現。PCやスマートフォンを使った作業、料理など家事を行うといった生活圏の距離がとても容易になりました。レンズの光学部である回折ゾーンは4.5mm幅と瞳孔の大きさ、光の照明といった条件への依存を最小限に抑えていますので、各距離で質の高い見え方、レンズ自体の持つ能力を十分に発揮してくれます。

Synergy(選定療養)

Synergy(選定療養)


2021年にジョンソン&ジョンソン社から国内販売された最新型の多焦点眼内レンズです。従来の二重焦点眼内レンズと焦点深度拡張型眼内レンズ(EDOF)を合わせた新しいコンセプトの連続焦点型の多焦点眼内レンズです。二重焦点眼内レンズ(遠方と近方)と焦点深度拡張型眼内レンズ(遠方から中間)の2つの作用を合わせることで、遠方から中間距離を連続的に見ることが可能になっただけではなく、コントラスト感度を良好に保ったまま近方も見えやすくなりました。乱視矯正用のレンズもあることから、より多くの方に対応可能なレンズとなっています。

Vivity(選定療養)

Vivity(選定療養)


独自の波面制御(X-WAVEテクノロジー)により、焦点深度を拡張させ、優れた遠方視と中間視および実用的近方視を提供できる眼内レンズです。これにより術後の眼鏡依存度の軽減が期待できます。また視覚障害が単焦点レンズと同程度に軽減されているため、夜間のドライビングなどに懸念を示されていた方に適応しやすいレンズと言えます。

多焦点眼内レンズは、種類に応じてそれぞれにメリット・デメリットがあります。必ずしも10~20代の時期と同じ視覚を得ることはできないものの、それに近いもの、またはメリットをうまく活かすことにより、お若いときには裸眼では見えなかった焦点も得ることできます。当院では、白内障手術が決定して予約検査をする際、医師および眼内レンズの専門知識を持つ視能訓練士が、じっくり時間をかけて丁寧にご説明させていただきます。その際、患者様がレンズの特性を十分ご理解の上で、自分にあった多焦点眼内レンズをご希望された場合にのみ、多焦点眼内レンズを選択いたします。ご不安やご不明な点などがありましたら、何度でもお気軽にご相談ください。


見え方の違い

レンズ構造が複雑なため、単焦点眼内レンズに比べると、暗所で光が散乱し、光の周辺に輪が架かって見える現象(グレア・ハロー)やコントラスト感度の低下が起きる場合があります。